ケチャップといえば、トマトを使った赤い調味料を思い浮かべる人がほとんどでしょう。
しかし実は、ケチャップは最初からトマトで作られていたわけではありません。
意外にも、そのルーツは魚を発酵させた調味料にあると考えられています。
この記事では、ケチャップの知られざる歴史や、なぜ現在のトマトケチャップになったのかをわかりやすく解説します。
ケチャップの元祖は「魚醤(ぎょしょう)」だった
ケチャップの語源は、中国南部や東南アジアで使われていた「鮭汁(ケーチャプ)」や「kê-tsiap(ケチャップ)」と呼ばれる魚醤だと考えられています。
魚醤(ぎょしょう)とは、魚を塩漬けにして発酵させて作る液体調味料のこと。
日本にも「しょっつる(秋田県)」「いしる(石川県)」などがあり、タイのナンプラーやベトナムのニョクマムも魚醤の仲間です。
この魚醤は、現在のトマトケチャップとは見た目も味もまったく異なり、魚のうま味を生かした調味料でした。
イギリスで「ケチャップ」は万能ソースになった
17〜18世紀になると、イギリスの船乗りや商人が魚醤を持ち帰ります。
しかし、現地では同じ材料を手に入れることが難しかったため、さまざまな食材を使って代用品が作られるようになりました。
- マッシュルームケチャップ
- クルミ(ウォールナッツ)ケチャップ
- カキのケチャップ
- アンチョビ入りケチャップ
つまり当時の「ケチャップ」とは、現在のようにトマト味を指す言葉ではなく、うま味のあるソース全般を意味していたのです。
トマトケチャップが誕生したのはアメリカ
18世紀末から19世紀にかけて、アメリカではトマトを使ったケチャップが作られるようになります。
当初は現在よりも保存性が低く、品質が安定しないという課題がありました。
そこで1876年、アメリカの食品メーカーハインツ(Heinz)が、熟したトマトに酢や砂糖を加えて保存性を高めたトマトケチャップを発売。
これが大ヒットし、世界中へ広まっていきました。
なぜ今は「ケチャップ=トマト」なの?
ハインツのトマトケチャップが世界的に普及したことで、「ケチャップ」といえばトマトを使ったものというイメージが定着しました。
現在でも英語では「ketchup」と書くだけで、一般的にはトマトケチャップを意味します。
その一方で、歴史をたどると、ケチャップは魚醤から始まり、マッシュルームやクルミなどさまざまな食材を使ったソースへと変化してきたことが分かります。
まとめ
- ケチャップのルーツは魚を発酵させた「魚醤(ぎょしょう)」と考えられている。
- 昔のケチャップはトマトではなく、マッシュルームやクルミなどでも作られていた。
- 19世紀にアメリカでトマトケチャップが誕生。
- 1876年にハインツが発売したことで世界中へ普及した。
今では当たり前のトマトケチャップも、歴史をさかのぼると魚醤がルーツという意外な過去がありました。
普段何気なく使っている調味料にも、驚くような歴史が隠されているのです。
参考文献
- Smith, Andrew F.『Pure Ketchup: A History of America’s National Condiment』University of South Carolina Press.
- Heinz History(H.J. Heinz Company)
- ブリタニカ百科事典「Ketchup」


