「李錦記(リキンキ)のオイスターソースには添加物が入っているけれど、体に悪くないの?」
原材料表示を見て、調味料(アミノ酸)やカラメル色素が気になった方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、李錦記のオイスターソースを料理に適量使っただけで、直ちに健康を害するとは考えにくいでしょう。
ただし、「食品添加物として使用が認められているから、何も気にする必要はない」と一言で片づけるのも不十分です。
この記事では、食品関連メーカーで食品表示や食品添加物の規格書業務を担当していた経験を持つ筆者が、実際の商品表示と公的機関の資料をもとに、李錦記のオイスターソースが体に悪いと言われる理由を一つずつ検証します。
この記事の結論
- 適量を使う限り、李錦記のオイスターソースが直ちに体に悪いとは考えにくい
- 「調味料(アミノ酸)に薬物のような依存性がある」とは確認されていない
- ただし、強いうま味や濃い味に慣れる可能性は、食生活全体で考えたい
- カラメル色素は4種類あり、種類によって製造方法や含まれ得る物質が異なる
- 原材料表示の「カラメル色素」だけでは、Ⅰ〜Ⅳのどれが使われているか判別できない
- 小麦・牡蠣にアレルギーがある人は注意が必要
李錦記のオイスターソースの原材料

今回確認したのは、李錦記のチューブ入りオイスターソースです。
パッケージには、次の原材料が表示されています。
カキエキス、砂糖、食塩、小麦粉/増粘剤(加工デンプン)、調味料(アミノ酸)、カラメル色素
「/」より前に書かれているカキエキス・砂糖・食塩・小麦粉が食品原料、「/」より後ろの増粘剤・調味料・カラメル色素が食品添加物です。
牡蠣のうま味だけで作られているわけではなく、砂糖や食塩で味を調え、加工デンプンでとろみを付け、調味料(アミノ酸)でうま味を補い、カラメル色素で色を整えた商品であることが分かります。
李錦記のオイスターソースに対し体に悪いというイメージをもつ理由
| 気になる成分 | 考えられる懸念 | 確認しておきたいこと |
|---|---|---|
| 食塩 | 摂りすぎによる塩分過多 | 使用量が少なければ摂取量も限定的 |
| 砂糖 | 糖質の摂りすぎ | オイスターソースだけでなく料理全体で考える |
| 調味料(アミノ酸) | 依存性や濃い味への慣れが心配される | 薬物のような依存性が確認されているわけではない |
| カラメル色素 | 一部の種類で4-MEIが生成される | 表示だけではⅠ〜Ⅳの種類を判別できない |
| 小麦 | 小麦アレルギー | 原材料に小麦粉が使われている |
| カキエキス | 牡蠣によるアレルギー反応 | 牡蠣は特定原材料等の表示対象に含まれていない |
調味料(アミノ酸)には依存性がある?
李錦記の原材料表示には、食品添加物として「調味料(アミノ酸)」と記載されています。
調味料(アミノ酸)は、食品にうま味を加えるために使われる食品添加物です。代表的なものには、L-グルタミン酸ナトリウム、いわゆるMSGがあります。
インターネット上では、調味料(アミノ酸)について「依存性がある」「一度食べるとやめられなくなる」と説明されることがあります。
こうした疑問が生まれる背景には、うま味調味料を使った食品がおいしく感じられ、繰り返し食べたくなることや、加工食品・外食などの濃い味付けと結び付けて語られやすいことがあります。
また、グルタミン酸は脳内で神経伝達物質として働くことから、「食品から摂取したグルタミン酸も脳を直接刺激し、依存を起こすのではないか」と心配されることがあります。
しかし、食品として摂取したグルタミン酸と、脳内で神経伝達物質として働くグルタミン酸を、そのまま同じものとして考えることはできません。
そのため、「おいしくてまた食べたくなること」と「医学的な依存症」は分けて考える必要があります。
薬物のような依存性が確認されているわけではない
現時点では、通常の食品に使われる調味料(アミノ酸)について、アルコール・ニコチン・薬物のような依存症を引き起こすことが確認されているわけではありません。
米国食品医薬品局(FDA)は、L-グルタミン酸ナトリウムについて、食品への使用を「一般に安全と認められる(GRAS)」ものとしています。
“FASEB’s report concluded that MSG is safe.”
訳:FASEBの報告書は、MSGは安全であると結論付けました。
これは、FDAがMSGに関する症状の報告を受け、米国実験生物学会連合(FASEB)に安全性評価を依頼した結果について説明したものです。
FASEBの評価では、空腹時に3g以上という多量のMSGを一度に摂取した一部の人に、頭痛・しびれ・ほてり・動悸・眠気などの短時間で一過性の症状が起こる可能性が示されました。
一方で、薬物依存にみられるような、使用量を自分で制御できなくなる状態、摂取をやめた際の離脱症状、健康上の問題があっても摂取を続ける行動などは、MSGの確認された健康影響として示されていません。
欧州食品安全機関(EFSA)も、グルタミン酸およびグルタミン酸塩について安全性を再評価し、体重1kgあたり1日30mgのグループADI(許容一日摂取量)を設定しています。
EFSAが安全量を設定する際に挙げた人への影響は、頭痛・血圧上昇・インスリン値の上昇などであり、依存症や離脱症状ではありません。
したがって、現在確認されている資料から、「調味料(アミノ酸)には薬物のような依存性がある」と断定することはできません。
公的資料から分かること
FDAやEFSAは、MSGやグルタミン酸塩について摂取量や一時的な症状を評価していますが、薬物依存や離脱症状を確認された健康リスクとして挙げていません。ただし、これはどれだけ摂取してもよいという意味ではなく、摂取量には注意が必要です。
強いうま味や濃い味への「慣れ」は別の問題
薬物のような依存性が確認されていなくても、日頃から味の濃い食品を食べ続けることで、薄い味付けを物足りなく感じるようになる可能性はあります。
ただし、これは調味料(アミノ酸)だけに特有の問題ではありません。
塩味・甘味・脂質・香辛料などを含め、刺激の強い味付けに慣れると、より濃い味を求めやすくなることがあります。
また、うま味には料理のおいしさや満足感を高める働きがあるため、「また食べたい」と感じること自体は不自然ではありません。
しかし、好みによって繰り返し食べることと、医学的な依存症は同じではありません。
調味料(アミノ酸)だけを必要以上に怖がるよりも、オイスターソース・しょうゆ・鶏がらスープの素などを重ねて使い、料理全体が濃い味になっていないかを確認する方が現実的です。
ポイント
調味料(アミノ酸)に薬物のような依存性があるとは確認されていません。一方で、濃い味に慣れることは調味料全体に共通する問題です。オイスターソースだけでなく、料理全体の味付けや使用量を意識しましょう。
カラメル色素には発がん性がある?
カラメル色素とは、糖類を加熱して作られる褐色の着色料です。
「カラメル」という名前から、砂糖を煮詰めただけのものを想像するかもしれません。しかし、食品添加物として使われるカラメル色素には、製造方法の異なる4種類があります。
| 種類 | 主な製造方法 | 4-MEIとの関係 |
|---|---|---|
| カラメルⅠ | 糖類を加熱して作る | アンモニウム化合物を使用しない |
| カラメルⅡ | 亜硫酸化合物を加えて作る | アンモニウム化合物を使用しない |
| カラメルⅢ | アンモニウム化合物を加えて作る | 製造過程で4-MEIが生じる可能性がある |
| カラメルⅣ | アンモニウム化合物と亜硫酸化合物を加えて作る | 製造過程で4-MEIが生じる可能性がある |
問題視されているのはカラメル色素そのものではなく4-MEI
特に議論されているのが、カラメルⅢ・Ⅳの製造過程で生じる可能性がある4-メチルイミダゾール(4-MEI)です。
4-MEIについては、高用量を与えた動物実験で発がん性が認められたことから、食品に含まれる量についても安全性が議論されてきました。
ただし、この結果は「カラメル色素を含む食品を少量食べると、がんになる」という意味ではありません。
動物実験で使用された量と、一般的な食生活で人が摂取する量には大きな違いがあります。欧州食品安全機関は、カラメル色素やその構成成分について、通常想定される摂取量では安全上の懸念はないと評価しています。
米国食品医薬品局も、食品に含まれる4-MEIに直ちに短期的な健康リスクがあるとはしていません。一方で、カラメルⅢ・Ⅳに含まれる4-MEIについて、継続して調査・検討しています。
李錦記にカラメルⅣが使われているとは限らない
ここは非常に重要です。
李錦記のパッケージには「カラメル色素」とだけ表示されており、カラメルⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳのどれが使われているかは書かれていません。
そのため、原材料表示だけを見て「李錦記には発がん性が問題になったカラメルⅣが入っている」と断定することはできません。
使用されている種類を正確に知るには、メーカーや輸入販売元に確認する必要があります。
「カラメル色素=発がん性物質」ではありません
カラメル色素には4種類あり、4-MEIが問題になるのは主にアンモニウム化合物を使用するⅢ・Ⅳです。また、動物実験で発がん性が認められたことと、一般的な使用量で人に同じ影響が起こることは同義ではありません。
塩分はどのくらい含まれている?
パッケージの栄養成分表示によると、李錦記のオイスターソースに含まれる食塩相当量は、100gあたり2.2gです。
パッケージに記載された使用量をもとに換算すると、目安は次のとおりです。
| 使用量 | 食塩相当量の目安 |
|---|---|
| 小さじ1(約6g) | 約0.13g |
| 大さじ1(約19g) | 約0.42g |
オイスターソースだけを見ると、少量使用で極端に多い数字ではありません。
ただし、炒め物ではオイスターソースに加えて、しょうゆ・鶏がらスープの素・塩などを使うことがあります。塩分を気にする場合は、オイスターソース単体ではなく、料理に加えた調味料の合計で考えましょう。
砂糖が2番目に多いのは体に悪い?
原材料は、原則として使用した重量の多い順に表示されます。
李錦記のオイスターソースでは、カキエキスの次に砂糖が表示されているため、一定量の砂糖が使われていることが分かります。
栄養成分表示では、100gあたりの炭水化物は26.8gです。ただし、このすべてが砂糖という意味ではありません。小麦粉や加工デンプンなどに由来する炭水化物も含まれます。
オイスターソースは一度に100gを食べる食品ではないため、小さじ1程度の使用で砂糖を過剰に摂取するとは考えにくいでしょう。
一方、糖質を厳密に管理している場合は、照り焼きのたれ・ケチャップ・砂糖など、同時に使用する調味料も含めて調整する必要があります。
添加物以外に注意したいのは小麦と牡蠣
小麦アレルギーがある人は使用できない
この商品には小麦粉が使われており、パッケージにもアレルギー表示として小麦が記載されています。
小麦アレルギーがある人は使用を避け、小麦を使用していない商品を選びましょう。
牡蠣アレルギーにも注意
オイスターソースの主原料はカキエキスです。そのため、牡蠣を食べてアレルギー症状が出たことがある人は注意が必要です。
牡蠣は、食品表示法で個別の表示が義務または推奨されている特定原材料等には含まれていません。
ただし、この商品では原材料名の最初に「カキエキス」と明記されています。アレルギーが心配な場合は、「アレルギー表示欄に牡蠣がないから大丈夫」と判断せず、原材料名全体を確認してください。
食品添加物を避けたい人はどうすればいい?
調味料(アミノ酸)やカラメル色素が気になる場合は、原材料がよりシンプルなオイスターソースを選ぶ方法があります。
購入時には、次の点を確認してみてください。
- 原材料に調味料(アミノ酸)が使われていないか
- カラメル色素が使われていないか
- 牡蠣エキスや牡蠣の使用割合が表示されているか
- 砂糖・食塩以外の調味原料が多すぎないか
- 自分が避けたい原材料が明確になっているか
ただし、「無添加」と表示された商品でも、塩分や糖類がゼロになるわけではありません。
食品添加物の有無だけで健康的かどうかを決めるのではなく、使用量・食べる頻度・料理全体の栄養バランスまで含めて判断することが大切です。
李錦記のオイスターソースを使うときのポイント
- 最初から大量に入れず、小さじ1程度から味を見る
- オイスターソースを使う日は、しょうゆや塩を控えめにする
- 毎回濃い味にせず、野菜や肉の味を生かす
- 原材料表示とアレルギー表示を確認する
- 添加物が気になる場合は、原材料のシンプルな商品と比較する
オイスターソースは、少量でもコクとうま味を出しやすい調味料です。たくさん入れるよりも、少量を料理の味の補助として使う方が、その特徴を生かしやすくなります。
まとめ:李錦記のオイスターソースは適量なら過度に怖がる必要はない
李錦記のオイスターソースには、調味料(アミノ酸)・加工デンプン・カラメル色素が使われています。
調味料(アミノ酸)に薬物のような依存性が確認されているわけではなく、カラメル色素も表示だけではⅠ〜Ⅳの種類を判別できません。そのため、李錦記にカラメルⅣが使われていると断定することもできません。
一般的な料理に適量使う分には、直ちに健康を害するとは考えにくいでしょう。ただし、濃い味への慣れや、塩分・糖類を含めた料理全体のバランスには注意が必要です。
食品表示に携わっていた立場から感じるのは、食品の良し悪しは添加物の有無だけでは判断できないということです。原材料表示を確認し、何が使われているのかを知ったうえで、自分が納得できる商品を選ぶことが大切です。
参考資料
- 厚生労働省「食品添加物」
- 厚生労働省「食品、添加物等の規格基準」
- 厚生労働省「第10版食品添加物公定書」
- 欧州食品安全機関(EFSA)「カラメル色素の再評価」
- 米国食品医薬品局(FDA)「4-MEIに関するQ&A」
- 米国食品医薬品局(FDA)「食品中の特定化学物質の再検討リスト」
※本記事は特定の商品による健康被害を示すものではありません。持病やアレルギーがある場合、食事制限を受けている場合は、医師や管理栄養士などの専門家に相談してください。商品の原材料や栄養成分は変更される可能性があるため、購入時に最新のパッケージをご確認ください。


